「科学・技術」の記事一覧
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Javaアプリの起動を高速化する新手法:JEP 515
2025-05-11 14:43
科学・技術JEP 515は、Javaアプリケーションの起動時に過去の実行プロファイルを即座に利用可能にし、JITコンパイラによるネイティブコード生成を迅速化する試みです。これにより、従来のウォームアップ期間が短縮され、アプリケーションはより早くピークパフォーマンスに到達可能となります。従来のAOTキャッシュにプロファイル情報を加えることで、初期実行中に再度プロファイリングを行う必要性を減らします。追加コストは小さく、利点は大きいとされています。
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RP2350をUARTでブート:安価なポート拡張の新手法
2025-05-11 14:26
科学・技術Raspberry PiのマイコンRP2350はPWMチャンネル数の多さが特徴ですが、本稿ではそのUARTブート機能を活用し、2つ目のRP2350をファームウェア不要なポート拡張として使う方法を解説しています。UART経由で簡易的にファームを送信し実行可能なこの仕組みは、複雑なファーム管理や互換性問題を回避できる利点があります。さらにRS-485変換により10メートル以上の距離でも安定通信を実現しています。
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2000年眠っていた巻物に記された哲学書のタイトルを解読
2025-05-11 14:02
科学・技術イギリスのオックスフォード大学ボドリアン図書館に保管されていたヘルクラネウムの巻物が、非接触の「デジタル開封」によって解析され、古代ギリシャの哲学者フィロデモスの著作『悪徳について』であることが判明しました。この成果は、人工知能と放射線スキャンの融合によって実現され、未開封の巻物から著作のタイトルと著者が初めて特定されました。今後の倫理思想の研究に大きな影響を与えると期待されています。
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2038年問題に警鐘、Epochalypse Projectが始動
2025-05-11 10:08
科学・技術2038年1月19日、Unix時間の32ビット上限により、多数の埋め込みシステムが誤作動を起こす懸念があります。医療機器やインフラ、金融システムなど広範囲に影響が及ぶ可能性があり、NTPの脆弱性を悪用した攻撃リスクも指摘されています。対応にはシステムの更新や脆弱性の可視化が不可欠であり、有志が立ち上げたEpochalypse Projectが啓発と技術的対応の中核を担っています。時間は限られており、今こそ行動が求められています。
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D-Wave量子コンピューターによるRSA-2048の初の因数分解成功
2025-05-11 08:50
科学・技術RSA暗号の根幹である整数因数分解に対し、中国の研究チームがD-Wave社の量子アニーリングマシンを用いて、特殊なRSA-2048整数の因数分解に成功したと報告しました。この成果は、従来の数学的手法や普遍的量子コンピュータを超える試みであり、量子アニーリングの現実的な暗号解析応用の可能性を示すものです。特に、指数的な解空間で局所最適解に陥ることなく最適解を見つけるトンネル効果を活用しています。
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Absolute Zero: 外部データゼロで自律学習するAI
2025-05-11 07:07
科学・技術Absolute Zeroは、外部データなしで自律的に問題を生成・解決しながら学習を進める新たな強化学習パラダイムです。この手法では、大規模言語モデルが自ら課題を作成し、コード実行を通じてその正誤を検証することで、報酬を自己生成します。AZR(Absolute Zero Reasoner)は数学やコーディングタスクにおいて既存のゼロショットモデルを凌駕する性能を示し、モデル規模や構成にも柔軟に対応できることが確認されました。
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SnobolでForthインタプリタを自作して学んだこと
2025-05-11 06:38
科学・技術筆者は古典的な言語Snobolを学習し、その理解を深めるために小規模なForthインタプリタを自作した。Snobolはパターンマッチによる制御構造が特徴で、全ての構文がラベル・対象・パターン・置換・ジャンプから構成される独特な構文を持つ。Forthを再実装することで、Snobolの柔軟性や制約を実感できたと述べている。プロジェクトは500行未満で完結し、小さな目標プログラムを設けることで学習効果が高まったと報告している。
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思考する人と実行する人、そして科学と技術の間にあるもの
2025-05-11 05:58
科学・技術本記事では、「思考する人」と「実行する人」という二項対立を通じて、科学と技術の関係、そして現代社会における両者のバランスについて論じています。イーロン・マスクの事例を取り上げ、技術的挑戦にリソースを集中すれば実現可能な事業と、思考の飛躍が必要な領域との違いを考察。現代は実行者の時代であり、思考者の空間が縮小していることを指摘し、小規模で自由な探究(little science)の再活性化と、より多くの人が思索できる制度(例:短期テニュア)を提案しています。
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ミップマップレベルの選択を徹底解説
2025-05-11 05:17
科学・技術本記事では、GPUがテクスチャをサンプリングする際にどのように適切なミップマップレベルを選択するかを詳細に解説しています。ミップマッピングの基本から始まり、ピクセルの微分計算、HLSLのSampleGrad関数の動作、そしてDirectXの仕様書に記載された楕円補正の理論までを網羅。さらに実際のハードウェア挙動を可視化・検証し、各GPUベンダーごとの実装差異や挙動の逆解析も行っています。グラフィックスプログラミングの奥深さと現実世界の制約が垣間見える技術解説です。
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OpenBSDでASUSノートのファン制御を実現した話
2025-05-11 04:26
科学・技術OpenBSDではASUSノートパソコンのファン制御機能が標準で対応していないため、ユーザーは独自にACPI WMIドライバを実装し、ファンのモード変更やホットキーイベントの処理を実現しました。GUIDの解釈やイベント取得、デバイス状態の操作などを通して、ファン速度の調整に成功。LinuxやFreeBSDの既存ドライバも参考にしつつ、ACPIメソッドの解析とASLコードの調査で正しいデバイスIDを特定し、互換性あるドライバを完成させました。
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NetBSDが486SX用FPUエミュレーションを実現
2025-05-11 02:13
科学・技術1990年代初頭のi486SXマシンに現代のUNIX系OSを導入する夢を実現すべく、NetBSD 10.xでソフトウェアFPUエミュレーションの開発が進められました。FPU非搭載の古いCPUでも浮動小数点演算を可能にするこの技術は、NetBSDではすでに正式リリースされており、retrocomputingファンからのテストと貢献が呼びかけられています。仮想マシン86Box上でも動作確認がされており、レガシー機器の再活用を促進する試みとなっています。
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ビット演算で描くシェルピンスキーの三角形
2025-05-10 21:42
科学・技術C言語のビット演算でシェルピンスキーの三角形を生成する驚くべきコードが紹介されている。論理積(AND)を用いた簡素なロジックで、2進数の位置表現が図形の自己相似性を自然に生み出している。作者はこれを80年代的な「ビットいじり文化」とフラクタルへの懐古として楽しんでおり、C言語や整数表現に親しみのある技術者には興味深い内容。コードの美しさと数学的意味が融合した解説となっている。
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超高速で高精度な疑似乱数生成器「LoopMix128」
2025-05-10 21:25
科学・技術LoopMix128は、2の128乗の周期と192ビットの状態を持つ、高速かつ高品質な疑似乱数生成器(PRNG)である。非暗号用途向けに設計されており、BigCrushおよびPractRand(最大32TB)にて問題なく動作することが確認されている。JavaやCの標準PRNGよりも高速で、注目すべきはinjective(単射性)がZ3により数学的に証明されている点である。これにより高並列処理も可能となり、科学計算やゲーム開発など幅広い用途に適している。
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Apple IIが小文字をサポートしなかった理由
2025-05-10 21:15
科学・技術Apple IIが小文字をサポートしなかった背景には、スティーブ・ウォズニアックの個人的な経済事情が大きく影響していた。当時、ウォズニアックは予算に限りがあり、安価な大文字専用キーボードを選ばざるを得なかった。また、手作業でBASICインタープリタを記述していたため、小文字対応の変更には膨大な作業とリスクが伴い、再設計は現実的でなかった。結果としてApple IおよびIIの初期モデルは大文字専用となった。
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食虫植物観察用ラズパイモニター「Xenolab」
2025-05-10 20:58
科学・技術ラズパイを用いた観察ステーション「Xenolab」は、食虫植物の環境監視とケアのために設計されたユニークなプロジェクト。7インチタッチスクリーン、温湿度センサー、RGB LED照明、風を模したファンなど多機能を搭載。3Dプリントと電子工作を組み合わせた本機は、趣味性と実験的精神に富んだ作品となっている。設計者は初めてのCAD挑戦として制作に取り組み、遊び心にあふれた仕上がりを見せている。
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386プロセッサのプリフェッチ回路を解剖する
2025-05-10 16:23
科学・技術1985年に登場したIntel 386は、x86アーキテクチャ初の32ビットプロセッサで、16バイトの命令プリフェッチキューを搭載していた。本記事では、シリコンダイ写真と回路解析を通じて、プリフェッチキューの構造と動作を詳細に解説している。命令の先読み、アラインメント処理、符号拡張、動的論理による比較回路、Manchesterキャリーチェーンやキャリースキップなど、高速動作を実現する工夫が多数盛り込まれており、設計者の高度な技術と工夫が見て取れる。
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干渉計技術で1.3km先の文字を可視化:遠隔イメージングの新時代
2025-05-10 14:05
科学・技術中国の研究チームが開発した新型干渉計は、レーザーと小型望遠鏡を用いて、1.36km先のミリメートル単位の文字を高解像度で可視化することに成功。従来の振幅干渉法とは異なり、光の強度変動の相関を利用する強度干渉法を用い、乱流環境下でも有効な手法として注目されている。今後は、スペースデブリの監視や生体組織の撮像などへの応用が期待されている。
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GADTがOCamlの性能向上に貢献する理由
2025-05-10 13:55
科学・技術OCamlのGADT(一般化代数データ型)は、型安全なDSL構築だけでなく、メモリ表現の最適化によって性能向上にも寄与します。記事では、バイト配列と通常配列を使い分ける例を通じて、GADTを用いたより効率的なデータ構造の構築方法を紹介。従来のポリモーフィズムでは難しかった操作も、GADTにより型ごとの処理を安全に実装でき、クロージャの削減や型推論の明確化により性能面でも有利です。
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ソ連の金星探査機コスモス482号、53年の軌道旅を経て落下
2025-05-10 13:51
科学・技術1972年に打ち上げられた旧ソ連の金星探査機コスモス482号が、53年の地球周回の末に再突入し、インドネシア沖インド洋に落下したと報じられた。地球大気圏突入時にも破損せず落下した可能性があるという。計画では金星を目指していたが、打ち上げ時の不具合で地球軌道に留まっていた。現在、宇宙ごみ問題が深刻化しており、1日平均3個の大型デブリが地球に落下している。再突入による地上被害は稀だが、今後の衛星打ち上げ増加とともにリスクは高まるとされる。
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大規模なオブジェクトストレージのゴミ掃除戦略
2025-05-10 13:23
科学・技術WarpStreamの開発者が、大規模なオブジェクトストレージにおける不要ファイルの削除(ガーベジコレクション)の課題と解決策を解説。単純なTTLポリシーや同期削除では問題が発生しやすく、実際には遅延削除キューや非同期リコンシリエーションによる二段構成が有効であるという。特にコンパクション処理とデータ保持期間が混在するシステムでは、メタデータとオブジェクトストレージの整合性維持が鍵になる。最終的には、コストとスケーラビリティのバランスを取ったハイブリッド戦略が有効と結論づけている。